平成19年連合婦人会総会挨拶
 
  • 野山も、いつしか、春の装いを、濃くして参りました。 昨年度は、60周年記念事業を無事終えることができ、会員の皆様の、1年間の御協力に篤く御礼申し上げます。 さて、ご来賓の皆様方には、大変お忙しい中を、私どものために、ご臨席を賜りました事に、心から厚く厚く御礼を申し上げます 
  • また、平素は、連合婦人会の活動に対し、格段のご理解と御協力を賜り、有り難うございます。連合婦人会が60年の歩みをコツコツと続けてくることが出来ましたのも、ひとえに、皆様方のご支援のたまものと、感謝いたしております
  • ところで、平成18年度は、ご存知の通り、建部町、瀬戸町が岡山市と合併し、新生岡山市が誕生した年でした。美しい山野、広がる農地、そして文化ゾーンを抱く岡山市は、まさに「田園都市」というキャッチフレーズがふさわしい、他県にも誇れる街となりました。 この、バランスのとれた、美しい風土を見れば、古代からこの地に、豊かな吉備の王国が栄えていた事も、うなずけます。吉備王国と比較するのも、おこがましいですが、私達連合婦人会も、この地に61年の歴史を刻んできたことを、誇りに思って良いと思います。
  • 去る2月18日に、コンベンションセンターで岡山市、建部町、瀬戸町合併記念式典が開催され、私も参加させていただきました。その式典の終わりに、アトラクションとして、旧建部町の多自枯鴨神社(たじこかもじんじゃ)に伝わる「棒遣い」と、瀬戸南高校、郷土芸能部による「備前陣太鼓」という伝統芸能が披露されました。自分達の故郷の伝統芸能に、真摯に取り組む若者たちを見て、非常にたのもしい思いがいたしました。
  • 「棒遣い」を保存・継承する建部の地元では、秋祭りが近づくと、小学生から大人まで、週3日の練習に励むそうです。子供達は、学校とは違った環境の中で、大人達と交流を持ち、上手にできる大人達に、憧れを持つようになります。そして、ふるさとの伝統を、自分達の誇りとして、継承していこうとする気持ちが、自然に生まれてきます。 このような、環境の中で育った子供達は、いたずらに、新しいものに走ることなく、伝統的なものの持つ重みを感じ取り、その中に、きっと、自分自身の糧となるものを、発見してくれることと思います。これこそまさに「故きを温ねて新しきを知る」、婦人会でも、ずっと大切に持ち続けている「温故知新」の精神の一つだといえるでしょう。
  • また、昔の人は、長い年月の間に、風土に合った生活の知恵を、自然に身につけていました。例えば、着物の着心地の良さ、風呂敷の便利さ、和食の優しさなど、伝統的なものの中には、先人の知恵と工夫が、満ちあふれています。新しいことをやろうとするとき、そのヒントは、案外、昔から連綿と続けてこられたことの中に、あるものです。
  • 我が国は、明治維新と太平洋戦争という、2度の大きな価値観の転換がありました。そしてまた、ここ数十年の、大きな価値観の変化によって、長い年月をかけて蓄積された、知識や、技術の継承が、断絶されようとしているのが、今の状況ではないでしょうか。本日この大会で、ご講演いただく臼井先生も、お話し下さると思いますので、楽しみにしていただけたらと思います。
  • 61年目を、スタートさせる婦人会。私達は婦人会の先輩から伝えられたことを、次の世代へ橋渡しする役割を、担わなければ成りません。それは私達の活動のためでもあり、次の世代を担う子供たちのためでもあります。
  • これからも「温故知新」という言葉を大切にし、常に心の片隅に置きながら、次の目標となる70周年を目指して今年も、頑張ってまいりましょう。
  •  平成19年4月13日 (金)
 岡山市婦人大会 講演会

「知って得する岡山文化」
〜そのエッセンス〜
講師 吉備国際大学教授 臼井洋輔氏
 岡山市連合婦人会総会の第二部婦人大会では、岡山県立博物館などで30数年にわたり岡山の文化財行政に携わってこられた臼井洋輔先生の講演が約1時間ありました。備前刀や備前焼等の古美術・美術工芸品、その他多方面にわたり造詣の深い先生の膨大な知識の一端を分かりやすい内容で説明されました。「知って得した」話の一部を紹介します。
現代の情報化社会はリアルタイムで世界中のニュースがすぐ分かるが、日本がどこへ向かっているのかわからない。欧米の歴史観では、自分たちはどこから来てどこへ行くのかと横の見方をするが、日本の歴史観は、いつ何があったかを記憶する記憶文化で縦の見方をする。今は激動の時期であるが、危機的状況こそ新しい文化が生まれる。危機はチャンスの裏返しである。岡山でも、平安末期から鎌倉初期にかけて、法然上人や栄西禅師を輩出し、刀剣(備前刀)は全国の7割も生産していた。真っすぐな刀を反らすことを考えたのも岡山の人である。反らすことにより、強度も切れ味も格段に良くなった。また、素焼きの備前焼は安くて強く、瓶・壷・擂り鉢など生活用品として重宝され、室町初期には全国シェアの85%を生産していた。その後釉薬を使った伊万里焼等に押され、今では生産は当時の30分の1にまで減っている。鋼を何十回もたたいて作った備前刀はいつまでたっても錆つかず、備前土を焼き締めた備前焼の壷に入れた水は腐らない。手間暇かけたものには、値打ちがある。
池田綱政候の要請で津田永忠が12年かけて造った岡山後楽園は日本三名園の一つであるが、樹種も多く園内に貴重な文化財が数多く残り素晴らしい。その他閑谷学校・林原美術館の能衣装など、岡山にはすぐれた文化財が沢山ある。時代が進めば技術も進むと思われるが、文化財をみるかぎり時代が進むほど悪くなっている。建築にしても、現場に行かずコンピューターに頼っている。明治以前の岡山は見えないものを大事にし、見えないものにエネルギーを注いだ。これからの日本の鍵は「伝えることを大事にする」ことである。先人の残した素晴らしい文化・伝統・人間としての規範などを是非とも子どもたちに伝えてほしい。子育てには手間暇かけてほしい。時代をリードするのは常に女性なのである
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